第4章

青春をにぎやかに、派手やかに、彩ったお友達……
「高校の頃に、本当の友達という財産を作ってね。」
加奈子が高校を選択する時、私は加奈子にこんな話をしました。
「母さんは人付き合いが悪かったから、ずーっと付き合っていられる友達は少なかったけど、でもね、青春時代の友達って勉強よりも大切と思うよ。
家から直ぐにとんでいける距離に友達がいる事が大事じゃないかな。」
「たくさんの人と付き合って後に、親友を一人、この人ならばと思う人ができるよ。」
と近くの高校を選択するように進めました。
「陸上がやりたいから。」と、遠距離の高校を選択しようとしていたのですが……。
私たちの選択は正解だったと、今思います。
高校で仲良しの八人グループができました。
みんな美しく可愛らしいお嬢さんたちです。
「母さん、かー達のグループってさ、みんな美人だよ、その中にかーがいてもいいのかなって思う事あるよ。」
と言ったこともあります。
「加奈ちゃんも十分美人だよ、むしろ八人の中で加奈ちゃんが一番じゃないの。」
身びいきで私が言いますと、
「母さんはね、そう思うんだよね。でもさ、みんな彼氏いるけど、かーだけいないさ。」
「大丈夫よ、加奈ちゃんがあんまり可愛いから手が出ないのよ。
彼氏なんてね、不思議なご縁なのよ、美しさで決まるのじゃないと思うよ。
そうだったらブスはみんな結婚できないことになるよ。」
などとたわいのない会話をしたことがあります。
加奈子が誇りに思うほど、美しい元気なお嬢ちゃん達が、にぎやかに青春を楽しんでいる様子が、日常の会話でよく分かりました。
友人達は、殆どが「やぎ座」とか、みんなで順番に誕生会をしていて、
最後の日が加奈子だったそうで、加奈子が去った年もその翌年もケーキを買ってきて、
加奈子がそこにいるかのように、
「加奈ちゃん、食べるよ。」
とにぎやかに誕生会をしてくれました。

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