第一章
立った、歩いた
立った、歩いた——自分の足で、自分の力で
九ヶ月と三日。体育の日に、加奈子は自分の意志で、自分の足で立ち上がりました。
お昼過ぎ、おもちゃで遊んでいた加奈子が、突然すっくと立ち上がりました。両手におもちゃを持ったまま、尻餅をついてしまいましたが、また立ち上がり、また尻餅。父も母も祖母も大喜びでした。もちろん本人も、みんなの喜ぶ声に気をよくして、繰り返し繰り返し立ち上がりながら、にこにこ笑っていました。
そしてその翌々日、十月十二日。ついに歩き始めたのです。感動の瞬間でした。

その日から歩き始めた足は、やがて幼稚園へ、小学校へと進み、運動会では選手になり、中学校では陸上部員として活躍します。日本舞踊では、優雅に裾引きを着て踊るようになるのです。
幼い頃は、毎日夕方にお風呂に入りながら、こう言い合ったものでした。
「がんばりやの足さんね」
「うん、がんばりやさん。ごくろうさん」
一日の疲れを、足と一緒に労(ねぎら)い合っていたのです。
九ヶ月と三日。体育の日に、加奈子は自分の意志で、自分の足で立ち上がりました。
お昼過ぎ、おもちゃで遊んでいた加奈子が、突然すっくと立ち上がりました。両手におもちゃを持ったまま、尻餅をついてしまいましたが、また立ち上がり、また尻餅。父も母も祖母も大喜びでした。もちろん本人も、みんなの喜ぶ声に気をよくして、繰り返し繰り返し立ち上がりながら、にこにこ笑っていました。
そしてその翌々日、十月十二日。ついに歩き始めたのです。感動の瞬間でした。

その日から歩き始めた足は、やがて幼稚園へ、小学校へと進み、運動会では選手になり、中学校では陸上部員として活躍します。日本舞踊では、優雅に裾引きを着て踊るようになるのです。
幼い頃は、毎日夕方にお風呂に入りながら、こう言い合ったものでした。
「がんばりやの足さんね」
「うん、がんばりやさん。ごくろうさん」
一日の疲れを、足と一緒に労(ねぎら)い合っていたのです。
朝夕(6時)更新しています
この記事へのコメント
毎日読んでたら
私はもうすっかり加奈子ちゃんの親戚のおばちゃんになったような気持ちになってます。
私はもうすっかり加奈子ちゃんの親戚のおばちゃんになったような気持ちになってます。
Posted by まなみ at 2025年04月04日 18:51
まなみはまだお姉ちゃんで大丈夫だよー
最後まで連載読んでくださいね
最後まで連載読んでくださいね
Posted by まさや
at 2025年04月06日 10:33
