第一章
五月十四日(母より)
<五月十四日(母より)>
S君から貰ったお手紙を大切に持ってきました。
「加奈子さん、いつも遊ぼうね。」と書いてありました。
お返事を書きたいようですが、字が書けない加奈子です。
「文はやりたし書く手は持たずだね、加奈ちゃん。」悠長に私達は笑っていました。
しばらく真剣に稽古をしましたが、これまで「みみずの遠足」のような文字にしゃべりながら書く事で用を済ませていた加奈子にとって、 一字一字丁寧に覚えるという事は、大変な事だったのでしょう。

「面倒くさい―」とやめて又、例のミミズ文字で書き上げてカバンにしまいました。明日S君はどうやって読んでくれるのでしようか。
<五月二十一日(先生より)>
(誕生会での先生達の人形劇がきっかけで、加奈子達仲良しさんが中心になって人形劇場が広がったようです。)
「一組さんや二組さんにも人形劇を見に来てくださいって手紙を書きましょうか。」と言うと
「私、字が書けない。」と、独り言。書けないと困ると思い始めたようです。
<六月十九日(母より)>
あすかちゃんに電話番号を知らせたいと名前を書く練習を始めました。
「わ」の字が難しいようです。文章は私に書かせて大きく名前と番号を書いていました。
文字は必要になって覚えていくものですね。
しばらくたってじぶんの育てている「かばまだら」が蝶になった事を喜び、「かばまだら」という字を覚える。
文字の学習が日常的に繰り返され出したので平仮名で書かれた日本地図を壁にはると都道府県を覚えている。
毎日「お父ちゃんと字の稽古をしています。」と先生にも報告していたようです。七月三日には「おとうさん、おかあさん」と書いてくれた。
この頃から私はお弁当の時は「食べて欲しい。」旨、お手紙を書きました。
本人も「おいしかったよ。」とか「残してごめんね。」などと書いてくれました。
草花の名前を知るにも『おきなわの自然とこども』(沖縄時事出版)の本を持って調べています。文字が読めるようになった便利さを十分に満喫していました。
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S君から貰ったお手紙を大切に持ってきました。
「加奈子さん、いつも遊ぼうね。」と書いてありました。
お返事を書きたいようですが、字が書けない加奈子です。
「文はやりたし書く手は持たずだね、加奈ちゃん。」悠長に私達は笑っていました。
しばらく真剣に稽古をしましたが、これまで「みみずの遠足」のような文字にしゃべりながら書く事で用を済ませていた加奈子にとって、 一字一字丁寧に覚えるという事は、大変な事だったのでしょう。

「面倒くさい―」とやめて又、例のミミズ文字で書き上げてカバンにしまいました。明日S君はどうやって読んでくれるのでしようか。
<五月二十一日(先生より)>
(誕生会での先生達の人形劇がきっかけで、加奈子達仲良しさんが中心になって人形劇場が広がったようです。)
「一組さんや二組さんにも人形劇を見に来てくださいって手紙を書きましょうか。」と言うと
「私、字が書けない。」と、独り言。書けないと困ると思い始めたようです。
<六月十九日(母より)>
あすかちゃんに電話番号を知らせたいと名前を書く練習を始めました。
「わ」の字が難しいようです。文章は私に書かせて大きく名前と番号を書いていました。
文字は必要になって覚えていくものですね。
しばらくたってじぶんの育てている「かばまだら」が蝶になった事を喜び、「かばまだら」という字を覚える。
文字の学習が日常的に繰り返され出したので平仮名で書かれた日本地図を壁にはると都道府県を覚えている。
毎日「お父ちゃんと字の稽古をしています。」と先生にも報告していたようです。七月三日には「おとうさん、おかあさん」と書いてくれた。
この頃から私はお弁当の時は「食べて欲しい。」旨、お手紙を書きました。
本人も「おいしかったよ。」とか「残してごめんね。」などと書いてくれました。
草花の名前を知るにも『おきなわの自然とこども』(沖縄時事出版)の本を持って調べています。文字が読めるようになった便利さを十分に満喫していました。
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